生放送「シビリアン・コントロールの神髄~将は国の輔なり」

次回の放送は令和7年6月15日 10:00からです

番組の趣旨

日本人講座は平成26年4月、小菅亥三郎先生によって開講されたのが初めです。その趣旨は、私たち日本人が見失った「日本」を再発掘することであり、今を生きる日本人の務めとして、過去の日本人を甦らせ、その甦った日本人を通して、現在の日本のあり方を問い直して行くということです。明治人の視座獲得に心血を注いでこそ「戦後からの脱却」が図れるというものでした。

現在のわが国は危機的状況にあります。この国の行く末を思う時、国家とは何か、日本人とは何か、如何にあるべきかを問い直していく必要に迫られています。

中国の『易経』では、「危うき者はその位に安んずる者なり。亡ぶる者はその存を保つ者なり。乱るる者はその治を有(たも)つ者なり。この故に、君子は安くして、危うきを忘れず。存しては、亡ぶを忘れず。治まりては、乱るるを忘れず。ここを以て身安くして国家保つべきなり」と述べています。

汗を流すことを厭う者は、汗を流すことを厭わない人に支配され、流血を厭う者は、流血を厭わない人に征服されることを考えるべきです。現在、日本国民の多くは、「平和憲法」と称して一片の紙片を恃みにしていますが、憲法は国民精神によって初めて生きるのであって、何の基本理念もなく、何の覚悟もなく、ひたすら安穏のみを願う怠惰な人に平和はあり得ません。

伊藤博文が憲法の勉強をするためヨーロッパを訪れた時、ウイーンのシュタイン博士にこう言われたと記しています。

「日本に於いて最も振るわないのは歴史教育である。老いとなく幼となく朝夕に心中、その国の過去を回想し、これに基いて将来に対する所為を定むるにおいて、はじめてその国に歴史ありというべきなり。他国の人民は、みなその国家の連続せる歴史を心中に有せり。ひとり日本のみこれあらざるなり」と。

そこで、明治の精神を学ぼうと「五箇條ノ御誓文」「陸海軍人ニ賜ハリタル勅語」「皇室典範」「大日本帝國憲法」「教育ニ關スル勅語」を、そしてその精神に満ちた「戰陣訓」「米英ニ對スル宣戰ノ詔書」「米英兩國トノ開戰ニ際シ陸海軍人ニ賜ハリタル勅語」「大東亞戰爭終結ノ詔書」「大東亞戰爭終陸海軍人ニ賜ハリタル勅語」を基本テキストとして、「日本国体」の体得を目指すことにしました。

そもそも日本人講座の主眼は、この番組「スタジオ日本日曜討論」に出演して戴き、言論戦の領域で行動を起こしてもらうための準備講座です。まさに、この講座は「日曜討論番組」を担って戴く伴走者育成のための師範講座の意味合いがありました。

そこで小菅先生は常々、『孫子』を例にしてリーダーたる者の資質について語り、

「兵法の要は統率です。情理を尽した統御と的確な指揮、つまり合理的判断、勇気ある決心、不屈の実行力、及びこれを支え、かつ教え、かつ戦うオン・ザ・ジョブ・トレーニングであり、組織力を効果的に発揮する極意です。この組織力を効果的に発揮するのが兵法です。」

と、説いておられました。旧日本陸軍の兵書『統帥綱領』にも「古来、軍の勝敗はその軍隊よりも将帥に負うところが大きい。戦勝は将帥が勝利を信じるに始まり、敗戦は将帥が敗戦を自認するによって生じる。故に戦いに最後の判決を与えるものは実に将帥である」と言っています。

そこで、今回のシリースでは小菅亥三郎先生の講義ノート「兵法の要は統率にあり」を基軸に『孫子』を取り上げ、『孫子~将兵の事は、静かにして幽なり』と題して、昏迷を極める現在の日本の、それぞれの分野における「リーダーたる者の資質」について、視聴者の皆様とともに考えて参りたいと思います。

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