生放送「日本人が台湾から学ぶ事その3」

次回の放送は令和2年6月7日 10:00からです

番組の趣旨

幕末、日本近代史上最大級の政治的うねりといわれる明治維新が起き、1868年に明治改元となりました。それから150年経って、2018年、台湾政界に、のちの台湾に決定的な影響をもたらした大地震が起きました。

総統任期の1年目から、経済再建、国防強化、日米台関係の強化、台中関係のリセットなどを鋭意に頑張ってきた蔡英文政権は、内政面で移行期正義、国民党の党産の清算、年金改革、同性婚合法化など台湾維新に相当する選挙公約を敢行しました。しかし、これが裏目となり反対勢力の火に油を注ぎました。また一部の性急な独立運動家は即時国名変更、新憲法制定などを要求し、陣営の足を引っ張るような態勢になり、結果的に2018年11月24日の統一地方選挙で与党・民進党は大敗を喫しました。

更に、この大敗を理由に台湾派陣営内に蔡英文総統再選反対のうねりが引き起こされ、敗戦で引責辞任した行政院長の賴清徳氏擁立まで発展します。しかし、ここからが「真の台湾人」の底力の見せ所でした。2019年6月、蔡英文女史はアンケート調査により、再び総統選に立候補し、2020年、1月11日、史上最高の得票数で再選を果たしました。

ところで、総統選の最中に中国武漢市に新型肺炎が発生、これを年末に察知した蔡英文総統は素早く行政院(国会)に指示、17年前のSARSの苦い経験を活かして、密かに防疫体制を展開しました。さすがに中国に散々やられている台湾、中国を見る目は鋭く、反応も素早いです。まず、武漢からの入国者に検疫を開始、武漢に専門家を派遣し状況を把握した上で、1月22日に中国湖北省に対して、出入国を禁止。2月6日には中国全土からの入国禁止を発令します。総統府、行政院から充分な権限を与えられた台湾中央伝染病指揮センター(台湾CDC)は、各省庁横断の指揮権限をフルに発揮し、確診者や濃厚接触者の疫学調査を徹底しました。また、マスク・防護服・消毒用アルコールなどの防疫物資の一元管理により、品薄現象を回避します。更に、出入国情報と健康保険IDナンバーのデータ統合により、マスクの実名販売や看病時の出入国記録確認に役立ちました。

台湾中央伝染病指揮センターは国民と情報を共有、国民を最優先し、国民の理解と支持を得ることを軸に、常に早期対応で方策を打ち出しました。結果として、会社通勤は通常通り行われ、学校も旧正月休みを2週間延長した対応だけで、ほとんど従来通りに授業が行われています。台湾は5月15日現在、感染者数440人、死者7人、隔離解除者387人と「世界一の防疫成績」を挙げました。サージカルマスクの生産量は、武漢肺炎発生前の1日当たり180万枚から、4月上旬には1日当たり1,500万枚にまで増産し、日米を始め、自由民主陣営の国々に延べ1,000万枚を越すマスクを無償援助しています。

「御国の為」が死語の如くになった日本と違って、かつて明治日本から「御国の為」の教育を受けてきた台湾人には、この精神が脈々と子孫に繋っています。これが今日の官民一体の防疫作戦の成功の鍵ではないでしょうか。またSARS事件後の防疫の法整備の根幹は、1944年、当時台湾を統治した日本政府が作った「伝染病防治法」だと言われています。日本では忘れられつつある「明治日本の精神」は、台湾では今でも活かされています。

今回のシリーズでは、私たち日本人が新しい時代を生きる上で欠かせない、台湾に残された「明治日本の精神」を学んでいきたいと思います。

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