経済の知識が国民を賢くし国家を強くする
日本再発見・本篇第109弾 全6回 平成29年1月8日~2月12日放送
番組の趣旨
経済の知識は何もビジネス用語の記憶量で測られるものではありません。経済は「お金儲け」の話しであるかのように思われがちですが、実際に経済を分析するための学問である経済学はお金儲けの方法を教えるものではありません。経済学とは国民が幸せになるにはどうすればよいかを考える学問です。「お金儲け」は国民や企業の幸せのひとつにすぎません。
現代経済学は数学を援用して議論が展開されるため、社会科学の中で最も科学的な学問とされています。それゆえに、物理や化学と同様に前提条件や仮定、時間視野などがどうなっているかを無視して議論したなら、テレビに出ている経済評論家と呼ばれる一群の人達のように結論が見えてこなくなります。時間視野が長期か短期かで結論は正反対になりますし、対象が個人か、国民かでも議論は混乱します。
例えば、一軒家の家事の時には走って逃げることが最適行動です。しかし、学校での火災時に走って逃げると出口が混雑してしまい、多くの焼死者を出します。そのため、歩いて非難するのが最適戦略となります。ミクロ概念とマクロ概念では真逆の結論が出るのです。「火災時の非難方法として最適な逃げ方は何ですか?」といった簡単な質問の仕方では、答える人の想定が違えば全く違う答えが導かれます。これを分かりづらい経済現象で同じようなことをすれば、口喧嘩が盛り上がり、テレビ的には面白くなります。また、政治家が、長期的には損することであっても、短期的には得に見えるような、耳障りがよく心地のよい朝四暮三的政策を国民に提示し、問題の先送りをして国民を騙す姿も同様です。
国民は悪しき政治家に騙されないために、経済の知識が必要です。次世代の幸福も自分の幸せと感じることが出来る人は、本来長期的政策を提言する政党に投票しなければなりません。ちょっとした視点の切り替えができないばかりに、選挙前になると現政権のあげ足を取り、実現不可能な財源の担保のない耳障りのよい政策を放言する政党などに投票してしまっては、将来の厚生を失ってしまいかねません。
経済状況は常に一定ではありません。状況を整理するためにも最低限の知識は必要です。火災時の非難方法のように、自分の最適行動を誤ってしまわないためにも経済の知識を少しだけ持ち合わせられるようにしたいものです。
今回のシリーズでは、経済学の側面から様々な問題についてリスナーの皆様と考えて参りたいと思います。
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