教えられない偉人たちの足跡
日本再発見・本篇第142弾 全6回 令和3年1月10日~2月14日放送
番組の趣旨
私たちが小学校や中学校で習った「偉人」は、ワシントン、リンカーン、エジソン、ニュートン、キューリー夫人、シュヴァイツァー、ナイチンゲールなど、皆、外国人でした。当時は全く気づきませんでしたが、これが戦後教育の典型なのかも知れません。
自分たちの周りにはそんな偉い人はいないけど、遠い世界には凄い人がいるんだ、と思ったものでした。しかし、戦中・戦前だったら、こんなことは教えられません。外国人など出てきません。「偉人」と言えば日本の政治家であり、軍人であり、武将であり、学者たちです。
「日本人の偉人」を見ていて、彼らには共通点がある事に気がつきました。何故、「日本人」と括ったかかと言えば、それは西洋人が呼ぶ偉人とは根本的に思考性の大本が異なるからです。確かに、西洋人にも立派な人は沢山いて見習うべきものは多くありますが、そもそも文化的背景が異次元的に違います。ですから、私たち日本人は敢えて日本人の偉人の特徴を良く知っておく必要があるからです。
日本人の「偉人」と呼ばれる人たちに共通するのは、「名誉や自己利益など求めていない」ことです。そして、彼らに共通する思考性が孝、忠、尽であり、その結果として無心となり「利他」と感じる功績を残していることです。
孝とは親を思い親に従う心で、忠は自分の属する組織を思い従う心です。その二つに尽くし続けることで、無心となり、偉人になるのです。
現代社会は、「利己」が満ち溢れ、醜い偽善を生んでいます。それは、尽すという思いの欠落に外なりません。また、偉人の守備範囲を見て感じるのは「忠」の広がりです。この「忠」の広がり方は、明治期に劇的に変わります。江戸時代までは、お国と言えば藩を指していましたが、明治維新後は、一気に現在の国土の大きさに変わります。そして見えていた世界も、日本列島の大きさから地球規模に変わり始めます。
こんなに大きな変化を強いられながらも、明治の日本人たちが世界が驚愕するような成果を納め続けたのは、 孝、忠、尽の思考性が当たり前に腹に落ちていたのです。ですから、世界の広さが変わっても彼らは決してぶれなかったのです。それを支えたのが、明治天皇の「軍人勅諭」であり「教育勅語」だったのではないでしょうか。
過去の日本人が、現在の日本人から見れば驚くほどの利他を発揮できていたのは、この思考性があったからです。だからこそ、自己保身や自己利益など、現代に生きる私たちが考えてしまう思考が現れなかったのです。
「教育勅語」を失った現在、偉人と呼ばれる先祖たちが当たり前に携えていた利他の精神を取り戻すことは容易ではありません。現在、私たちが馴染んでいるグローバルの観念からは、真逆に見える彼等の思想と言動が、実は真のグローバルの入口なのかも知れません。
今回のシリーズでは『教えられない偉人たちの足跡』をテーマに、日本の偉人たちの足跡を視聴者の皆様と共に考え、コロナ後の新しいグローバルの為の一歩に出来ればと思います。
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