豊かな心を育む~道徳教育の重要性

日本再発見・本篇第145弾 全2回 令和3年5月16日~5月23日放送

番組の趣旨

哺乳動物は母乳がなければ生きていけないので、出生直後から母乳をくれる母親が「何ものにも代えがたい存在」になります。その上、人間は「未熟児で生まれる」とか「10ヶ月の早産だ」と言われているように、むしろ母親の胎内にいる方がよい未熟な状態で生まれますから、生後1年間は、母親と別の個体になっても心身共に一心同体が望ましいのです。

子供は生後、空腹や抱いて欲しい、オムツを替えて欲しいといった違った要求すべてを「泣く」という表現で母親に伝え、ほとんどの母親が子供の違った思いに適切に応じることで、子供は自分の欲求や感覚の区別を覚え、表現方法が正しかったと思い、自分の思いを適切に表現することを学んでいきます。   この「学習の積み重ね」を子供ができるようにするためには、愛情と信頼を基本にした初期の母子関係以外の何ものでもないのです。社会生活を送る人間にとって最も大切な能力は「自分の気持の表現」と、それによって作られる「対人関係」で、それがこの乳児期の母子関係で基礎がつくられるのです。

また、母親にとって腕の中のわが子は、いかなる能力を持とうとも、あるいは、また持たなくても気にはならないように作られています。ですから「わが子はすべてよい子」となるのです。

わが国をはじめ先進諸国では、家事労働の軽減から母親に時間的余裕が出来た上に、子供の数の減少も加わり、更に高学歴の女性が増加したこともあり、完璧を期する母親が増えています。彼女達の多くは、子供の資質に関わらず「世間で言う立派な子」に育てたい一方的な思いで、技術的に教育をしようとして、純粋な愛情よりも育児書片手に授乳時間や量を機械的に行なったり、子供を調教的に育て、子供が求める前から子供の要求を満たし、早くから幼児教育ビデオなどを使っていきます。これでは、子供が自分の感覚を適切に自覚し、自らの欲求を表現することを止め、知的意欲など無くしていって当然です。

九州大学名誉教授の井口潔氏は、「人間の赤ん坊は、肉体は完成して生まれるが、心は未完成な存在であり、躾(しつけ)によって『人間』に完成させることを改めて認識すべきだ」と言っています。また、「感性を司る『古い脳』が機能する10歳までに、我慢や善悪の区別を学ぶ道徳教育を終え、知性を司る『新しい脳』が発達する10歳から20歳は知性教育に特化すべきだ」とも述べています。

そこで、今回のシリーズでは婦人シリーズの第3弾として、『豊かな心を育む~道徳教育の重要性』をテーマに、「学校では教えられない大切なこと」を中心に番組を進め、様々な問題を視聴者の皆様と共に考えてみたいと思います。

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