日本の「伝統文化」を目の敵にしたGHQ
日本再発見・本篇第162弾 全6回 令和5年9月10日~10月15日放送
番組の趣旨
日本が開国以来初めて敗北を喫した大東亜戦争。勝者である連合国にとって、極東の小さな島国は異様で理解し難い強国と映っていました。黒船によって太平の眠りを覚まされてから、わずか40年で、眠れる獅子と畏怖された「清」を撃破したのです。
その後、列強の一角である「帝政ロシア」を破り、第1次世界大戦では勝者となり、「黄金の国ジパング」は無敵、向かうところ敵なしの快進撃でした。
占領軍がその強さを「東洋の神秘」と恐れ、日本の精神文化にもその一因を求めたとしても、無理からぬことでした。武道にはじまり、歌舞伎の「忠臣蔵」「勧進帳」、剣術映画、はり灸に至るまでを、彼らは危険と見なし禁止しようとしたのです。
事実、GHQが日本に対して、容赦無用の「圧力」や「洗脳」をかけた例は、実に多くの日本文化に及びました。ます、「軍歌」を禁止し、「戦」に関わる「剣道」、「柔道」、「弓道」、「相撲」、「空手」、「合気道」などのあらゆる日本の「武道」の禁止を手掛けようとしました。果ては、日本古来の「カルタ」や「双六」などの「ゲーム」にまで目を光らせ、規制を加えようと試みました。当然のように、「将棋」もその標的になりました。
「将棋」については、「日本の将棋は、取った駒を自分の兵隊として使用する。これは捕虜の虐待であり、人道に反するものだ」というのがGHQのホイットニー民政長官の主張でした。
これに対して、GHQに呼び出された第4代名人の升田幸三が、「日本の将棋は、捕虜を虐待も虐殺もしない。(中略)これは能力を尊重し、それぞれに働き場所を与えようという思想である。(中略)チェスなんてなんだ。王様が危うくなると、女王を盾にとって逃げようとするじゃないか」と切り返し、将棋を生き長らえさせた、という話が有名です。GHQに唯々諾々と従うのではなく、言い返すことが重要でした。一方、将棋の禁止を試みたGHQは、中国発祥の「囲碁」については、手つかずのままに残しており、「日本固有の伝統文化」に徹底的に狙いを絞っていたのです。
占領政策は「スポーツ」「セックス」「スクリーン」のいわゆる「3S政策」だったと言われます。戦後、日本の伝統文化である「武道」をスポーツとして競技化したのは「相撲」や「武道」も同じです。
日本の武道に対して「超国家主義、軍国主義の温床」という偏見を抱いていたGHQは、とりわけ「剣道」、「柔道」を狙い撃ちにしていました。その中心役だったCIEのケン・ダイク局長や、ロバート・キング・ホールら「日本嫌い」と呼ばれた担当者の態度からは、「武道を根絶やしにする」という敵意を窺うことが出来ます。
そこで、今回のシリーズでは、『日本の「伝統文化」を目の敵にしたGHQ』をテーマに、「なぜGHQが日本古来の伝統文化を危険と恐れたのか」、その標的にされた「武道」や「ゲーム」にスポットを当て、日本人の精神文化の本質について視聴者の皆様と共に考えて参りたいと思います。
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