干支の活学~旧体制を破り創造を伸ばすべし
年末年始篇 第35弾 令和5年12月31日放送
番組の趣旨
本年も残すところ、今日一日となってしまいました。皆さんにとって、この一年はどういう年だったでしょうか。
本年は癸卯(みずのと・う)の年で、「きぼう」の年でした。この癸卯(みずのと・う)の意味するところは、「万事筋道を立てて処理してゆけば、繁栄に導くことが出来るが、筋道を誤まると、こんがらがって、荊(いばら)や茅(かや)のように、あがきのつかないことになる。その果ては混乱・動乱、あるいはぶち壊し・ご破算になる」ということでした。
この一年を振り返って見ると、「筋道を喪失した日本」を痛感した年でした。国民の運命を直接支配する代表的な政治の分野を見ても、昨年の令和4年は重大な問題が、壬寅(じんいん)の干支の通り進んで来ました。壬は妊むという字で、寅は演と同じで、伸びるという字です。ですから去年の壬寅は、いろいろ発生した問題をはらんで、ぐんぐん伸びてきたのです。この寅という字の本来の意味は、伸びる、慎むという意味です。物事が新しくはらまれて伸びてくるのですから、その時においては大いに慎まなければならず、慎重に処理をしなくてはなりませんでした。しかし、伸びるという事ばかり頭に入れ、慎むということが足りませんでした。
そこで今年の令和5年は、筋を通すということが大事であり、筋を通さないと厄介なことになるという年でした。今、日本は政治や経済、教育のみならず、すべてそうですが、問題が見送り見送りで、ごたごたするばかりで、いっこうに筋道が立っていません。政界を見ても、議会そのものが筋道が通っていません。これは、国家社会のことばかりではありません。個人生活においても同じことです。好むと好まざるにかかわらず、打算の是非にかかわらず、物事をはっきりさせ、筋道を立てて行かなければならない年だったのです。
個々の例を挙げると際限のないことですが、どの面を見ても今日の日本は、筋道が立たず、もたもたしています。これが実相です。これを放っておくと、「干支」が教える通り、ますます混乱するばかりです。その内には安全保障問題、憲法問題、選挙法の改正問題、外交問題等々いろんな問題が起こってきます。さらに混乱がひどくなれば、始末の悪いことになってしまいます。
そういう事を考えると、一体日本は楽観すべきか、悲観すべきなのかと思ってしまいます。何事も楽観の方がよいに決まっています。しかし、本当の楽観は悲観があって初めて成り立つということは、哲学的にもはっきりしていることです。
「人、遠き慮りなければ近き憂あり」という諺の通り、親身になって心配する者があってこそ楽しめるのです。悲観が出来てこそ楽観ができるのです。親身になれば、今日は悲しまざるを得ません。今の日本は、親身になって考えれば考えるほど悲しまざるを得ないのです。状態があまりに深刻過ぎます。これを多くの国民が、親身になって悲しんでこそ、初めて楽観することが出来るのです。
そこで今回は年末特別番組として『干支の活学~旧体制を破り創造を伸ばすべし』をテーマに、令和6年"甲辰(きのえ・たつ)"の意味するものについて、視聴者の皆様と共に考え、「スタジオ日本 日曜討論番組」の、来たるベき新年への指針として参りたいと思います。
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