施光恒先生に聞く 道州制構想の落とし穴

日本再発見・周年篇 第13弾 平成29年8月27日放送

番組の趣旨

私たちには都道府県という区分は、すっかり定着し親しまれていますが、これをなくそうという声が一部で非常に強くあります。いわゆる「道州制」です。先の堺市長選挙でも、「大阪都」構想の是非が問題になっていました。また、それとの関連で道州制の是非自体も争点の一つに挙げられていました。自民党、維新の会、民進党をはじめ、ほとんどの党が道州制推進派です。しかし、道州制はホントに必要な改革なのでしょうか。

道州制構想が実現すれば、税収などの財源が地方に移管されます。それに伴って、地方交付税などの地域格差をなくすための予算が廃止されます。「財源を移管するから、あとはそれぞれの州の自助努力でがんばってね」というわけです。そうなると北海道、東北、北信越、中国、四国、九州などは州の財政が逼迫する恐れがあります。推進派は、それを近隣諸国との経済的結びつきを強めることによって解決できるし、そうすべきだと考えているようです。推進派でなくても、実際に道州制が行なわれれば、そうするしか手がなくなるように思えます。

地方交付税がなくなり、国レベルの大規模な経済政策や公共事業などの景気刺激策も期待できなくなれば、地方経済は間違いなく落ち込みます。そうなると、「貧すれば鈍する」「溺れるものは藁をもつかむ」で、安全保障上の危険性には目をつむり、各州は中国、ロシア、韓国などの近隣諸国との連携を深めようとするでしょう。近隣諸国からの投資や観光客、ひいては移住者などを少々無茶しても呼び込んでくるようになるのではないでしょうか。政府が、国レベルの経済政策を打たなくなり、地方を切り捨て、地域間格差是正のための手立ても行なわなくなれば、その分各州は、外需に頼ろうとします。道州制の下では、結局、各州の経済は外国にどっぷり依存するようになるわけです。

投資を呼び込むための政治的な「規制緩和」として、州限定だとしても労働ビザや永住権を大幅に取得しやすくしたり、外国人地方参政権を認めたりする州もでてくるでしょう。各州間での その手の規制緩和競争が行なわれる可能性も否定できません。危険極まりないことです。たとえば、中国が台湾との経済的結びつきを強化することによって台湾経済を中国依存体質にし、台湾を実質的に取り込もうとしてきたように、道州制実施後は九州州をはじめとする各州が「台湾化」してしまう恐れがあります。「州」になろうと思っていたら、いつのまにか中国の一つの「省」になっていた、なんてことになったら笑うに笑えません。また、日本国民の連帯意識の希薄化も心配です。

今回の特別番組では郷土意識の大切な資源である慣れ親しんだ都道府県制度をなくそうとする危険な改革である「道州制構想の落とし穴」について視聴者の皆様と考えてみたいと思います。

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