令和の夜明けに明治日本の美を考える

日本再発見・本篇第131弾 全4回 令和元年5月12日~6月2日放送

番組の趣旨

ご存知のように、日本列島は太平洋の北西側に位置するユーラシアプレート、太平洋プレートとフィリッピンプレートによる地殻変動で出来た島々です。この日本列島と同じく北緯30°から45°のエリアでは、中国の華北乾燥地帯を始め、モンゴル、中央アジア、中東、北アフリカ、スペイン、そしてアメリカの中西部まで、至る所に砂漠地帯が広がっています。例外的に緑豊かなところは颱風やハリケーンに良く見舞われている日本とアメリカ東部地域だけでした。

しかし、アメリカ大陸は大西洋の阻断で、文明発展が困難に極まります。一方、イングランドのように僅か35キロメートルのドーバー海峡では、ローマの軍勢を阻止することは難しく、占領統治された時期もありました。日本列島だけが150キロメートルという適正距離の対馬海峡に守られ、大陸と盛んな文化交流を行いながら、歴史上一度も占領されたことがありません。実に選ばれた土地と言っても過言ではないと思います。

この選ばれた土地のほぼ中央に、九州、四国、中国、近畿に囲まれた瀬戸内海があります。手漕ぎ船時代の瀬戸内海は大事な長距離、大荷重輸送のルートとして、航海技術を育み、物流を支え、和の国という国家連合をまとめる上で重要な存在でした。

この選ばれた土地の上に住む人々は、弥生時代から温帯地方である環境を克服し、ハイテク産業である米作を成功させ、現代に至るまで、世界一に誇るお米を育成しました。この度重ねる努力の中に、物を大事にし、自然を大事にするような「わびさび」、「おもてなし」、「八百万の神」文化が生み出されました。また、大陸文化を導入する際、宦官、科挙、井田(せいでん)制度、王朝更迭などネガティブ要素を上手に選別除去し、「武士道精神」に鍛えながら、「万世一系」を守り抜きました。

明治28年(1895)、日本と類似な自然環境を持ちながら、鄭成功王朝、スペイン、オランダ、清国に長年支配された台湾に、当時の日本政府はこの熟成した日本文化を台湾に持ち込みました。それが今も台湾の人々に大事に語り続けられている「日本精神」でした。

元来、「島国根性」という言葉は、島国に住む住民にありがちな、視野が狭く閉鎖的で、せこせこした気質を表す、ネガティブなイメージを持つ言葉として、良く使われています。ここは敢えて、「島のお陰・島で良かった」を副題に、地政学的視点、比較文化的視点から儒教文化圏、キリスト教文化圏と比べながら、令和のそよ風に乗って、島という自然環境がこの国のみにもたらした素晴らしいことを皆様と一緒に考えてみたいと思います。

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