故郷と神話の結び~地域の歴史と文化の宝庫

日本再発見・本篇第148弾 全6回 令和3年10月3日~11月7日放送

番組の趣旨

福岡の神社は、全国で3番目に多く、約3,800社も鎮座しています。全国的に見ると神社神道の多くの神社は、東か南を向いているものなのですが、福岡の神社には、社殿が北や西を向いている神社が多いのが特徴です。「日出る国」「アマテラスは太陽」ですし、神武東征の物語も東へ向かいます。また、古来より、「天子は南面する」と言われますから、東や南を向くのはわかります。ところが、福岡を代表する神社の多くが、社殿が北や西を向いているのです。

例えば、宗像大社は北向き、筥崎宮は北西です。博多区の住吉神社は西向きであり、中央区の警固神社も西向きです。これは、主に朝鮮半島から日本を守るために、神様をその方向にみて社殿が建てられていたと言われます。また、福岡には、神社に入るときに砂を自分の身体に振り掛ける「お潮(汐)井取り」と言う風習がありますが、これも福岡独自の風習です。つまり、福岡には福岡のオリジナティ、地域らしさが神社にあるのです。

神社とはそのように、「地域らしさ」の元になっているのです。それぞれ神道が神社によって御祭神や考え方が違うように、その地域の神様が鎮座されるのが、神社の氏神や産土神(うぶすながみ)の基本です。だから、地域の独自性が表われるのは当然だと言えるでしょう。

宗像大社の世界遺産登録では、登録申請に合わせて、宗像市をはじめ、北九州市は総力を挙げて、地域の整備を行いました。その経済効果は大きなものだったそうです。

戦後日本人は、神社や神道の良さを忘れて生きてきました。たとえその「地域の歴史と伝統の宝庫」であったとしても、平成22年(2010)までは、「神社を中心にした地方再生や地域起こし」を語っても、相手にされず、それどころか「神社はだめだ」とまでいわれました。ところが翌23年の東日本大震災以降はその風向きが変わり、日本の伝統文化を守るためにも、地域の神社を活用することが普通に行なわれるようになりました。それを受けて政府も「神社発の6次産業化」の推進を図っています。もちろん、日本の神社のすべてがこのような大胆な地域創生策を手掛けられるわけではありません。

しかし、日本では太古の昔から、鎮守の杜のある神社は「地域の核である」と呼ばれてきました。ですから、「地域の活性化」を達成するためには、神社が地域の住民と日本のために有効に活用されることが、これから必要な条件になると考えています。

今回のシリーズでは『故郷と神話の結び~地域の歴史と文化の宝庫』をテーマに、神話を通しながら、古代から日本人に伝えられた「公(おほやけ)」「公共」とは何かを視聴者の皆様と考えて参りたいと思います。

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