将来の皇室典範改正に向けて~皇位継承問題を考える

日本再発見・本篇第155弾 全5回 令和4年9月11日~10月9日放送

番組の趣旨

皇室典範特例法に則り約200年ぶりの譲位が行なわれ、今上陛下が即位されてから4年の歳月を迎えました。特例法の可決に際して、衆参両院は以下の付帯決議を採択しています。

一、政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方のご事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。

二、一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について「立法府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。

この決議に基づき、即位礼および大嘗祭が終わった11月下旬から国会において「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について本格的な議論が始まる筈でした。そうした状況を踏まえ、一部の野党は議論を前に、皇位継承問題に対する自らの立場を明らかにしました。

それを受けての、マスメディアの反応は、(1)国民の理解と支持を得られるものであること、(2)伝統を踏まえたものであること、(3)制度として安定したものであること、の3つを基本的視点として考えるべきだとしていましたが、しかし、その内容は、あいまいな設問による世論調査の数値や現今の少子化傾向、家族に対する国民意識の変化などを安易に採用するなど、特定の価値観や、「男女平等」に対する過剰意識を前提にまとめられ、各種世論調査では「女性天皇・女系天皇」を是とする見解が多数を占めています。これに対して、男系継承を維持しようとする立場からは、「メディアが公平に報道していない」と批判がなされています。

一方で、マスメディアでは問題となるものの、国会での本格的議論は一向に進んでいないのが現状です。

今から77年前、GHQは、日本の国力の源泉が、第1代神武天皇以来、君民一致の国柄にあることを見抜き、これを変質せしめることで日本の弱体化を図ろうとしました。そして大日本帝國憲法の改正と新たな皇室典範の制定をはじめとして、皇室関係法令の改変を強く迫り、皇室の制度的基盤が大きく弱められました。皇室典範第1条等、皇位継承制度の本質的な部分は辛うじて守られたものの、他の多くの重要な事柄が改変を余儀なくされたのです。

更に占領下において、基本的人権の尊重をはじめ、国民主権や男女平等を謳う現憲法のもとに様々な改革が進められました。その行き過ぎた改革が歴史、伝統との断絶をもたらし、主権回復後においても、自国の歴史と伝統に誇りと自信の持てない国民を育ててきたことは否めません。

私たちはここで、もう一度、わが国の歴史や伝統・文化を振り返り、国柄の中心にある皇室のご存在を再認識し、道徳的な支柱を再構築していかなければなりません。

そこで今回は、今般の皇室典範改正問題を機に『将来の皇室典範改正に向けて』をテーマに、政府の有識者会議報告書の問題点、伝統に基づく皇位継承のための提言、更には、皇室制度の沿革と現行制度の検討・整備の方向性等について、視聴者の皆様と共に考えて参りたいと思います。

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