日本の誇り~日本の命を護った昭和天皇と「中朝事実」
日本再発見・本篇第146弾 全6回 令和3年6月27日~8月8日放送
番組の趣旨
山鹿素行は、45歳の時に著した『聖教要録』で、幕府の官学・朱子学を痛烈に批判した罪により江戸を追われて赤穂へ流謫(るたく)となります。赤穂ではひたすら学問と著述に没頭し、48歳の時には国体についての名著『中朝事実』を書き上げました。54歳で配流が許されて江戸に戻り、その後10年間は軍学を教えた後、生涯を閉じます。今回のシリーズは、そんな『中朝事実』のお話です。
『中朝事実』は、万世一系、皇室が連綿と続く日本は三種の神器が象徴する智・仁・勇の三徳に優れ、「日本こそ世界の中心にある国だ」と説き、皇統の系譜と事蹟を記して、その正当性と政治的権威による「君臣の義」を歴史に即して述べています。日本主義的傾向は明らかですが、それは支那において聖人が示した政治理念が我が国において実現したことを普遍的な基準で解説したものであり、儒教を否定する国学の傾向とは異なり、現在でも誤解されているような「国粋主義の書」ではありません。
また、日露戦争の英雄・武士道に生きた最後の古武士である乃木将軍は、明治天皇の大葬に際して殉死しましたが、その前日『中朝事実』を献上し、本書を熟読されんことを言上したと伝えられます。献上の折のただならぬ様子に裕仁親王(昭和天皇)は「院長先生はどこかへ行かれるのですか」と訝られたそうですが、後に本書が昭和天皇に大きな影響を与えたことは間違いないのでしょう。
そして、戦後の日本は構造改革・規制緩和をして市場を開放し、金融を自由化し経済的自立を果たしてきましたが、その結果良い方向に進んできたのでしょうか?
経済とは、その国の固有の条件、さらに伝統・文化に密接な関係があります。だからこそ、日本は日本型の節度ある経済成長のモデルを今こそ世界に広めねばならないのです。乃木将軍はじめとする多くの先人達の思想に日本は立ち戻り、日本が本来持っている素晴らしいところを見直し、良いと思えば自信を以て世界に向かって主張しなければならないでしょう。
現在の我が国は、敗戦・東京裁判史観によって未だに日本精神を再建出来ずにいます。そして私たちは、日本の伝統と歴史の連続性が復活し、これによって損なわれてきた日本精神の基盤が再生されることが、今こそ重要だと考えています。現代日本の政治家・官僚・自衛隊はじめ社会のリーダーには『中朝事実』のような過去の賢人の言にも耳を傾ける度量が求められているのではないでしょうか。
5月27日は日本海海戦記念日でしたが、筥崎宮での記念式典もコロナ禍の影響で2年続けて中止となりました。そこで今回のシリーズでは乃木将軍の精神とも言うべき『中朝事実』を中心に、先人達が学んだ「日本の誇り」について、視聴者の皆様と考えて参りたいと思います。
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