沖縄戦集団自決最高裁判決は禍根を残す

日本再発見・本篇第63弾 全6回 平成23年5月15日~6月26日放送

番組の趣旨

 先日、いわゆる沖縄戦集団自決名誉棄損訴訟で、最高裁判所は被告の大江健三郎氏と岩波書店の勝訴確定の判決を出しました。これはウソを書いた本の出版を最高裁が容認するという極めて問題のある判決です。

 沖縄本島に米軍が上陸する直前、昭和20年3月末に、沖縄県座間味島と渡嘉敷島で起こった集団自決について、昭和25年出版の「沖縄戦 鉄の暴風」が、集団自決は梅沢少佐と赤松大尉の命令だった、と事実に反する記述をし、この記述がそのまま他の著書に引用されて「沖縄戦集団自決は軍命令だった」とのウソが罷り通り、日本軍は悪いことをしたという日本悪者論に利用されて来ました。

 ところが昭和48年に出版の本で、曽野綾子氏は自らの実地調査により、赤松大尉が自決命令を出した証拠は見つからなかった事、又、平成11年には集団自決の生き残り証人の宮城初枝氏の証言で梅沢少佐は自決命令を出していなかったことが判明し、沖縄戦集団自決軍命令説を採用していた著作のうち良心的な幾つかは絶版としたり記述を削除したりするなど、沖縄戦集団自決軍命令説は虚偽であることが証明され、梅沢少佐と赤松大尉の冤罪は晴らされてきたかに思われました。

 しかし、ノーベル賞作家大江健三郎氏は以上の事実が判明した後も、「沖縄ノート」の軍命令説、梅沢少佐と赤松大尉をユダヤ人虐殺犯人のアイヒマンになぞらえた記述などを訂正することなく両氏の名誉を甚だしく棄損することを続けて来ました。これに対して平成17年、梅沢少佐本人と赤松大尉の遺族が大江健三郎氏と岩波書店を名誉棄損で訴えましたが、今回、最高裁判所はノーベル賞作家の名声に遠慮したと受け取られかねない、事実に目をつむった判決を下しました。真実の究明を使命とする裁判所がこれほど明らかな事実を無視してノーベル賞作家という名声に配慮した判決を下したことはわが国裁判史上に汚点を残すものです。

 沖縄戦集団自決軍命令説を主張する人達は、軍命令説は虚偽であると真実を訴える人たちに対して、今回の最高裁判決を根拠に真実の追求に対して一切の議論を拒否すると思われますが、軍命令説は冤罪であり、日本と日本軍の名誉のために機会ある毎にその真実を訴えていく必要があります。

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